コラム

 公開日: 2018-05-23 

成立間近!働き方改革法案の本当のポイント

国会の会期末まで1ヵ月を切り、働き方改革法案の審議も山場になってきました。
ただ、新聞やTVなどのマスコミでは、一部の高度専門職を労働時間の規制から外す
「高度プロフェッショナル制度」いわゆる残業代ゼロ法案ばかり報道し、
中小企業にとって本当に影響が大きい法案の部分が報道されていないので
この法案の本質が誤って伝わっているように思います。



■残業代ゼロ法案は意味なし?


いわゆる「残業代ゼロ法案(高度プロフェッショナル制度)」は、
概ね年収1千万円以上の一部の高度専門職に対し、
本人の同意や104日以上の休日付与を条件に労働時間の規制から除外しようというものです。

これに加えて、対象になった労働者が、その後、制度から離脱することも可能とする法案修正も
行うとのことですが、多くの地方の中小企業にとっては年収1千万をラインにしてる時点で
実務上の影響は限定的です。

それよりも多くの企業では課長以上を「労働基準法第41条に規定する管理監督者」とみなして
既に労働時間の規制から除外していますが、こちらは年収1千万円どころか500万円程度で、
休日もとても104日など確保できてない管理監督者の方が数多くいるのが現状です。

■有給休暇の5日間強制取得


中小企業にとって実務上、最も大きな改正になると思われるのが、
労基法第39条改正の有給休暇の部分です。

これはざっくりいうと
「10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、1年以内に5日間以上、有給休暇を与えなければならない。」
という法案で、H31年4月1日から施行される予定です。

10日以上有給休暇が付与される労働者には、アルバイトやパートタイマーであっても当然に含まれます。

たった5日間?と思われる方もいるかもしれませんが、
私が知る限り、会社平均であれば5日以上有給休暇を取れている会社はたくさんありますが、
パートを含め対象者が全員5日間の有給休暇を取れている会社はまだまだ少ないです。

また、法改正により年次有給休暇の取得の仕組みも変わることになり、
これまで年次有給休暇の取得は
①本人の申請 ②労使協定による計画的付与
の2種類しか認められてなかったものが、あらたに

③労働者に意見を聴いた上で、会社が有休日を指定する

という方法も認められることになります。

有給取得を本人任せにして、思った通り5日消化しなかった場合には、
1年経過する前に会社が有給を指定しなければいけないのですが、
最後まで放置して複数の人がたまった有給をとることになると業務が回らなくなる可能性が出てきます。

対策として、例えば付与日から6ヵ月経過時点で3日未満の取得の従業員は
そこから○ヵ月以内に○日取らせる、など
計画的に管理しながら進めていかないと運用は難しいと思われます。

■残業時間の規制には休日労働時間も加算


時間外労働の上限改正については、月45時間、年360時間を原則とし、
特別条項(臨時特別な事情について協定)がある場合でも年720時間、
単月100時間未満、複数月平均80時間を限度に設定されます。(H31年4月1日施行) 
※建設業や医師など一部職種で猶予されます

ポイントとしては、これまで時間外労働と休日労働は分けて換算していたものが、
休日労働を含んで月平均80時間~などと規制が強化されました。

■同一労働同一賃金


こちらはパートタイム労働法や派遣法での規制(H32年4月1日施行)となりますが、
法条文には具体的に
「(略)~基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて~(中略)~
不合理な差があってはならない~」
などとしています。

合理的な理由無くして、正社員には賞与はあるが、
パートには賞与は無い、ということは今後できなくなります。

・・・
他にも勤務間インターバルや非正規雇用者に対する労働条件説明義務の強化など
働き方改革法案には様々な改正が盛り込まれていますが、
成立した場合、中小企業の労務管理は益々複雑化していきます。

是非早めに法案のポイントをおさえ、対策をとっていくことをお勧めします。

この記事を書いたプロ

今井労務経営事務所 [ホームページ]

社会保険労務士 今井順也

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